複数の米軍拠点で多大な被害、写真から判明 イランの攻撃で

わずかな植生が点在する砂漠で、「米空軍」と機体に書かれた飛行機の後部が大破している

画像提供, CBS News

画像説明, 破壊された米空軍機のボーイングE-3セントリー(撮影日不明、サウジアラビアの首都リヤドから南東約100キロにあるプリンス・スルタン空軍基地)
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ケイラ・エプスティーン、バーント・デブスマン・ジュニア

BBCがアメリカで提携するCBSは、中東にある複数のアメリカの施設がイランの攻撃で多大な被害を受けたことを示す画像を入手した。

現役軍人から提供された写真には、切断されたレーダー機、押しつぶされたトレーラー、そして甚大な被害を受けた建物が写っている。

日付不明の写真はいずれも、サウジアラビアとクウェートにある米軍の基地および関連施設で撮影されたもの。

CBSが匿名で伝えた軍関係者の一人は、「我々の基地にとって重大な損害だが、アメリカ国民には伝えられていない」と述べた。

「我々は目を閉じたまま立って、顔を殴られているようなものだ」とも、この軍関係者は話した。

ホワイトハウスはBBCの取材に対し、米中央軍に問い合わせるよう指示した。中央軍はコメントの依頼に、直ちには応じなかった。

CBSが報道した写真の内容を、BBCは独自には検証していない。

動画説明, 湾岸地域の米軍基地が受けた被害が明らかに、イランの攻撃で 米CBSが写真入手

CBS報道の前日には、国防総省の監察総監が、中東にある米軍基地の数百もの建物や構造物がイランの攻撃で損傷または破壊されたことを確認したと、確報告書を発表していた。

CBSが入手した写真の1枚には、サウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地で破壊された米軍機ボーイングE-3セントリーが写っている。機体は真っ二つになっており、尾部は金属片が絡み合った塊と化している。

この写真には日付が記されていないが、BBCヴェリファイ(検証チーム)は以前、3月に撮影されたとみられる同じレーダー機の類似写真があることを確認している。

早期警戒管制機(AWACS)のボーイングE-3は、脅威になり得る対象について早期に警告するため、標的となる恐れがあるものを長距離にわたって探知・追跡する。

米当局者は当時、ロイター通信に対し、イランによる空軍基地への攻撃で米軍関係者12人が負傷し、うち2人が重傷だと話した。

一方、クウェートの米軍拠点キャンプ・ビューリングで撮影されたとされる日付不明の写真2枚には、つぶれたトレーラーや、大破した大きなテントのような構造物と立ち上る煙が写っている。

破壊されたトレーラーの残骸が手前にある。後方には多くのトレーラーが並んで

画像提供, CBS News

画像説明, イランの攻撃で破壊されたトレーラー(撮影日不明、クウェートのキャンプ・ビューリング)
大きなテントのような構造物があり、屋根部分がひどく損壊している。近くで黒煙が立ち上っている

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画像説明, イランの攻撃で損壊した建物(日付不明、クウェートのキャンプ・ビューリング)

別の画像には、クウェートの米軍拠点キャンプ・アリフジャンにある、イランの攻撃によって損傷した4階建ての建物が写っている。

同じ場所では3月、攻撃によって衛星通信機器などに被害があったことが報告されている。この画像が、それと同じ攻撃の際に撮影されたかは不明。

民主・共和両党の政権で国家安全保障担当官を務めたブライアン・カトゥリス氏は、画像に写っている被害状況から、「アメリカが防衛体制を十分に整えていなかった」ことがわかると述べた。

現在は米シンクタンク中東研究所で上級研究員を務めるカトゥリス氏はまた、「中国やロシアといったアメリカの敵対国が、イランの標的選定を支援した可能性を示す強力な証拠がある」とし、「トランプ政権はこうした脆弱(ぜいじゃく)性に対して、何もしてこなかった」と話した。

茶色系の建物の一部が、壁が無くなるなど損壊している

画像提供, CBS News

画像説明, イランの攻撃で損傷した4階建ての建物(撮影日不明、クウェートのキャンプ・アリフジャン)

一連の画像は、国防総省の国防総省の監察総監が報告書を公表した直後に公開された。報告書は、「現在の紛争で、クウェート、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、イラク、オマーン、ヨルダンにある米軍基地の数百の建物や構造物が(イランの攻撃によって)損傷または破壊された」と結論している。

報告書はまた、これまでの装備品の損失総額は37億ドル(約5760億円)に達したと記述。アメリカは6月29日の時点で、イランとの戦争に総額334億ドル(約5兆2000億円)を費やしたとした。

そして、戦争開始から数カ月間で、「数十の米軍機が破壊または損傷の被害を受けた」とした。

報告書には、損傷した航空機がいくつか記載されている。その中には、「サウジアラビア国内で、イランの兵器によって地上で損傷または破壊された」空中給油機5機が含まれている。

議会予算局(CBO)の別の報告書は、E-3航空機はすでに生産が終了しており、より近代的なE-7に置き換える必要があるとしている。

CBOは、E-3だけでも損失額は5億ドル(約780億円)で、戦闘で失われた装備(航空機、ドローン、終末高高度防衛システムなど)の総額は推定19億ドル(約2960億円)に達すると指摘。

国防総省が情報提供の要請に応じなかったため、今回の調査は政府のデータベースや公表されている報告書に頼らざるを得ず、「不確実性」が伴うとした。

CBOの報告書はさらに、米軍が計画している修復や再建の規模は依然として不明だとしている。

前出の中東研究所のカトゥリス氏は、「こうしたコストは、トランプ政権がいかに貴重な軍事リソースを無駄遣いし、目立った成果を上げられなかったかを示している」とした。そのうえで、米軍の全般的な即応態勢に大きい被害が出ていると述べた。

「アメリカは、軍事力をアジアから中東に振り向けざるを得なくなった。その結果、アメリカとアジアの同盟国は、中国に対して前より弱い立場に置かれている」

「そのうえ、アメリカは弾薬が枯渇している。そのためロシアが、アメリカのNATO(北大西洋条約機構)同盟国の弱点を探り、ウクライナに対する侵略戦争を継続する意欲を高めている」

カトゥリス氏はまた、アメリカは装備の損失に対処する財源をもつが、すでに財政難に直面していることから、中東や世界の他の地域で紛争が起きた場合に、素早く対応できない可能性があると付け加えた。

米政府に対しては、イランとの紛争終結を求める社会的、政治的圧力が高まっている。今回の紛争は、2月28日にアメリカとイスラエルが共同でイランを攻撃したことから始まった。

イランはそれ以降、湾岸地域のアメリカの基地や同盟国、イスラエルを繰り返し攻撃してきた。

米下院は15日夜、イランとの戦争の終結に向けた3度目の採決を実施。連邦議会が承認していない米軍の軍事行動を中止するよう、ドナルド・トランプ大統領に強制する法案を可決した。

採決では、与党・共和党の複数の議員が賛成に回った。今回の採決は、11月の中間選挙を前に、この問題に関して下院で行われる最後の採決となる可能性がある。

法案が議会を通過するかは不透明だ。上院はこれを取り上げるか、まだ意向を明らかにしていない。

同じ日、今期限りで退任するトーマス・マッシー下院議員(共和党)が、ピート・ヘグセス国防長官の弾劾決議案を提出した。

トランプ政権はヘグセス氏を支持している。トッド・ブランチ司法長官は記者団に、ヘグセス氏は「素晴らしい仕事をしている」と述べた。