中国、自国民に対する渡航制限を強化

左手に持っている中国のパスポートがアップになっている写真。背後のパソコン画面には「国家移民管理局」の文字が見える

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画像説明, 中国では、国家安全保障を脅かす犯罪行為をした国民は最長3年間、出国禁止となる可能性がある
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中国は15日、自国民の出入国を制限する幅広い新規則を多数導入した。国民に対する統制がさらに強まるとみられている。

新たな規則では、外国滞在中に中国の国家安全保障や国益を「損なった」とみなされた中国国民は、最長3年間、中国からの出国を禁止される。

また、中国の産業や技術の安全保障にとって脅威とみなされる人も、この措置が適用される。

中国は、技術覇権をめぐってアメリカとの競争が激化している半導体や人工知能(AI)などの分野で、厳しい監視を実施している。これまでも、こうした業界の幹部らに渡航制限が課されてきたと報じられている。

新規則はまた、「高リスク」とみなされる国や地域への渡航は控えるよう中国国民に勧告することを、出入国管理当局に義務付ける。

すでに公務員らは、特定の国への渡航を制限されている。さらに、国営企業の従業員や一般市民も、そうした制限の対象にされてきた。

東部・安徽省の元公務員の男性がBBC中国語に話したところでは、この男性の勤務先では2018年ごろ、職員らにパスポートの提出が義務付けられた。職員らは外国に行く場合、申請して理由を説明する必要があり、すべての申請が承認されたわけではなかった。この男性は昨年退職したが、パスポートは現在も元雇用主が保管したままだという。

北京の国有金融機関に勤務する男性(32)は、かなり前に指示を受けてパスポートを差し出しており、外国に渡航する際は許可を得なくてはならないと、BBC中国語に話した。管理職の上司は職員らに対し、「日本のようなデリケートな国は絶対に渡航禁止だ」と言っているという。

米ジョージタウン大学アジア法センターのエグゼクティヴ・ディレクターを務めるトム・ケロッグ教授は、拡大する渡航制限について、「非常に憂慮すべき」ものだとBBC中国語に説明。「習近平(国家主席)の下でイデオロギー統制の強化が進んでいる」ことを示すものであり、世界から孤立していた毛沢東時代を思い起こさせると述べた。

自分が制限の対象なのか確認できず

中国政府の「闢謠(デマ否定)」プラットフォームは先週、新たな規則は「一般国民の渡航を制限するものではなく、むしろ高リスクの目的地や異常な渡航パターンを持つ個人に対する予防措置として機能する」との声明を発表した。

声明は今回の規制について、人々がだまされて国外に出たり、外国で違法な賭博や詐欺行為に従事したりするなどの「問題」に対処するために発令されたとしている。

公開されている情報によると、中国国民は現在、自身が出国規制の対象なのかを自分で確認することはできない。

文書や口頭での公式通知があった場合を除き、人々は通常、書類の申請や出国の際に初めて、自分が受けている制限の有無を知ることになる。

中国外務省と入国管理局は、BBC中国語の取材に応じなかった。

国際人権団体セーフガード・ディフェンダーズがBBCに提供した、中国の最高裁判所のデータによると、中国では近年、当局が自国民に対する出国禁止措置を大幅に強化している。

このデータからは、2016年に89件だった出国禁止に関する記録が、昨年は18万8760件に増えたことがわかる。出国禁止をめぐる民事裁判の判決の比率も、2019年には約0.23%だったのが2025年には7.3%へと30倍以上に急増。判決が保留となるケースが増加していることから、訴訟のボリュームはさらに大きいとみられる。

今回の規則は、人権などの分野で働く国民にも影響が及ぶ可能性があると、アナリストらは指摘している。

前出の米ジョージタウン大学のケロッグ教授は、「これは、中国国民が海外で何をし、何を言うかを統制するためにつくられた新たなツールだ」と述べた。

「場合によっては、個人が外国で中国政府を批判するのを阻止するため、あるいは人権擁護活動を罰するために、国家安全保障当局がパスポートの発給を直接拒否することがある」