EUとNATO、ロシアへの圧力強化を誓う ドイツでの「新たなエスカレーション」受け

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ポール・カービー欧州デジタル編集長
北大西洋条約機構(NATO)と欧州委員会の両トップが、ロシアが無謀さを増していると警告を発した。そして、「新たな常態」に対応する姿勢を鮮明にした。
両首脳は、ドイツ・ライプツィヒ空港でのドローン攻撃未遂についてドイツ政府がロシアを非難した翌2日、それぞれ考えを表明した。
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「ライプツィヒでの出来事は、欧州連合(EU)の領土における、ロシアに直接起因する出来事の新たなエスカレーションを示している」と述べた。
NATOのマルク・ルッテ事務総長は、「ドイツと全面的に連帯する」と強調した。NATOには欧州各国に加え、アメリカも加盟している。
ライプツィヒ空港で8月4日にあった、爆発物を搭載したドローンを使ってウクライナの貨物機を攻撃しようとした事案をめぐっては、ロシアを非難するのはまったくお門違いだと、同国は反発している。
この事案を受け、ドイツがロシアに対する新たな制裁を発表すると、ロシアはこれに対抗。国内にあるドイツの文化センター「ゲーテ・インスティトゥート」を閉鎖するとした。
ライプツィヒ・ハレ空港で発見された問題のドローンは、ロボットが起爆しないよう処理した。同空港では別のドローンが、異なる貨物機に衝突したとみられている。
同空港ではさらに、3機目となるドローンが10日後に発見されたと報じられている。この空港はNATOの重要拠点であり、ウクライナもアントノフ輸送機の離着陸によく利用している。
今月1日になってドイツ政府は、これらの出来事の背後にロシアがいることが、警察の捜査と情報機関の分析で証明されたと発表した。
ドイツ内相は、今回使われたドローンの構成、部品、爆発物、起爆装置はすべて、ロシアの他のハイブリッド作戦で確認されているものと同じだと述べた。
これらの事案では、容疑者2人が特定されたと報じられている。1人はロシアのパスポートを持ち、観光ビザで入国したベラルーシ人。もう1人はラトヴィアとロシアのパスポートを所持し、ベルリンに空路で入ったあと、攻撃未遂の2日前に出国した人物だ。
ドイツ政府は、ボンにあるロシア領事館と、ベルリンにあるロシアの文化施設「ロシア・ハウス」を閉鎖すると発表した。この文化施設は、クレムリン(ロシア大統領)のプロパガンダ機関として機能していると広くみられている。

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ロシア外務省は、ドイツが主張の裏付けとなる証拠を一切示していないと反発している。
ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は、対抗措置として、モスクワ、サンクトペテルブルク、エカテリンブルクにある「ゲーテ・インスティトゥート」を閉鎖すると発表した。
これに先立ち、ロシア当局は、ドイツのベルント・フィンケ臨時代理大使を呼び出し、同国の「全く根拠のない非難」は容認できないと伝えている。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領も、ドイツの措置について、「明らかにドイツ国民の利益に反する」ものであり、重大な誤りだと非難している。
ロシアのアレクサンドル・グルシコ外務次官は、ドイツとの関係を断つ用意がロシアにはあるのかと問われ、「あるかもしれない」と答えた。ただし、現時点では外交による関係改善に期待すると付け加えた。
ドイツでは、政府に批判的な立場の人々が、ロシアに対して弱腰だと批判している。一方、ドイツ政府は、EUによる制裁の拡大や、EU域内へのロシア人の入国制限など、同盟国と協調した対応を視野に入れている。
フォン・デア・ライエン氏は声明で、ライプツィヒでの攻撃には「ロシアの工作員がEU領土で実行した軍事レベルのこと」が関わっていたと明確に述べた。
そして、「私たちはそれを容認しない」と宣言。「私たちは対応を強化しなくてはならない。それは、ロシアの無謀さに対し、より迅速かつ効果的に応じる準備を整えることを意味する」とした。
フォン・デア・ライエン氏がベルギー・ブリュッセルでルッテ氏と会談している間、EU各国の外相らはアイルランド・ウィックローに集まっていた。その場でフランスのジャン=ノエル・バロ外相は、ロシアの「影の艦隊」に対して、欧州レベルで措置を講じることも可能だと述べた。「影の艦隊」とは、EUの制裁を回避しながら、石油やその他の貨物を輸送している船を指す。
バロ氏とベルギー、オランダの閣僚らは、ライプツィヒでの攻撃に抗議するため、それぞれの国で駐在するロシア大使を呼び出したと述べた。
リトアニアのケストゥーティス・ブドリス外相は、ロシアがEU各国に対してハイブリッド作戦を仕掛けるにあたり、政治的な代償を全く感じていないのは明らかだと述べた。
EUの外相にあたるカヤ・カラス外務・安全保障政策上級代表は、既存の制裁措置の執行を強化する方法を検討していると説明。また、ロシアの元戦闘員に対するEU入域禁止や、ロシア人観光客に対するビザ(査証)の厳しい制限については、幅広い支持があるとした。
スウェーデン、オランダ、ポーランド、スペインなどのEU加盟国は、ロシアの凍結資産のうち1930億ユーロ(約35兆円)超をウクライナ支援に充てるよう働きかけている。この構想は2025年末に最初に提案されたが、凍結資産が保管されているベルギーが反対した。ベルギーは、裁判で財政的責任を問われることを恐れ、立場を変えていない。
フォン・デア・ライエン氏は、ドローン攻撃や重要インフラへの妨害行為など、危険な事案が増加傾向にあるとし、ライプツィヒでの攻撃はその一部だと述べた。
ルッテ氏も、NATOの東側諸国にドローンやミサイルが飛来しており、ヨーロッパ全体でリスクが高まっていると指摘。「ウクライナ向け防衛装備品の製造工場への放火や、ライプツィヒにおけるロシアのハイブリッド攻撃など、私たちの領土を直接狙った悪意ある活動」が増えているとした。

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ドイツではここ1、2日だけでも、破壊工作の疑いのある複数の事案が報告されている。東部イェンシュヴァルデと、西部ケルン近郊のベルクハイムでは、変電所が攻撃された。
背後にいるのが何者なのか、当局はまだ特定できていない。だが、西部ノルトライン=ヴェストファーレン州のヘルベルト・ロイエル州内相は、同州ベルクハイムの送電網を狙った攻撃について、意図的なものだと主張。実行者は誰であれ、ドイツ全体を攻撃したことになるとした。
そして、「私たちは二つの可能性を調べている。外国による破壊工作と、左翼過激主義だ」と述べた。
この攻撃では、いくつかの送電線が機能しなくなり、石炭火力発電所2カ所で発電ユニット5基が停止した。警察によると、畑で発射装置6個が発見されたという。
一方、東部ブランデンブルク州のイェンシュヴァルデ石炭火力発電所付近では、1日の早い時間に高圧送電線が損傷。その後、変電所で爆発装置が発見された。
隣国ポーランドでは、首都ワルシャワの南140キロメートルに位置するスカルジスコ=カミエンナにある、戦闘用ドローンの製造工場で火災が発生した。ドナルド・トゥスク首相は、意図的な放火であり、破壊工作だと述べた。東部ルブリンで先月30日にあった工場火災についても、放火の可能性は排除されていない。
フォン・デア・ライエン氏は、ロシアを抑止するため、すでに制裁措置が取られており、EU各国の外相らが「ロシアの軍事資金をさらに減らす」新たな方法について協議中だとしている。
EUはすでに、ウクライナへの900億ユーロ(約16兆円)の融資に合意している。フォン・デア・ライエン氏によると、ウクライナはパトリオットPAC-3防空ミサイルの購入費用として、数十億ユーロの追加資金を要請している。ヨーロッパとウクライナが共同開発する弾道ミサイル防衛計画「フレイヤ」は、すでに作業が進行しているという。
フォン・デア・ライエン氏は、ヨーロッパとNATOはロシアへの圧力を維持していくと約束した。そして、「私たちはそれ(圧力)を強め、やめることはない。ロシアがウクライナで罪のない男性、女性、子どもを爆撃し、殺すのをやめるまでは」と述べた。















