アルゼンチン大統領、フォークランド諸島の領有権を改めて主張 石油会社への制裁ちらつかせる

眼鏡姿の男性がマイクを前に話している。後方にはアルゼンチンの国旗が見える

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画像説明, アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領
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ウィル・グラント・メキシコ・中米・キューバ特派員、クリス・グレアム記者、ピーター・ホスキンス・ビジネス記者

アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は3日、南大西洋にあるフォークランド諸島の周辺で石油採掘を行う企業に経済制裁を科すと警告した。領有権を争っているイギリスとの間で緊張が高まっている。

ミレイ大統領は国民に向けた演説で、「変化の風」が同諸島に対するアルゼンチンの領有権主張を後押ししていると訴えた。アメリカが、この問題に関する中立の立場を見直す兆候を示していることで、ミレイ氏は自信を強めている。

ミレイ氏はまた、イギリスとイスラエルの企業が探査作業を開始する予定のシーライオン油田について、「明白かつ差し迫った危険」だと述べた。

英首相官邸は4日の声明で、「フォークランド諸島住民の自決権は、自らの天然資源を開発する権利にまで及ぶことは明らかだ」と述べた。

フォークランド戦争から40年以上たった今も、この群島の主権は、イギリスとアルゼンチンの間で激しく争われている。

ミレイ氏は、大統領公邸で閣僚に囲まれながら制裁計画を発表し、フォークランド諸島は「歴史的にも法的にも」アルゼンチン領だと改めて強調した。

制裁措置がどのように、どの範囲まで実施・強化されるかは、まだ明らかになっていない。アルゼンチンでは既に現行法によって、島嶼(とうしょ)部で無許可とみなされるプロジェクトに参加する石油会社の活動を制限することが可能となっている。

イギリスのウェス・ストリーティング国防相は、フォークランド諸島に対するイギリスのコミットメントは「絶対的かつ揺るぎない」と述べた。

ストリーティング氏はXへの投稿で、「昨夜発表されたミレイ氏の発言は、フォークランド諸島についてというよりは、アルゼンチンの国内政治について多くを物語っている」と述べた。

英首相官邸も、フォークランド諸島は「島民が望む限り」イギリスの海外領土だと強調。「アルゼンチン政府が島民に対して経済的な脅迫を行ったのは今回が初めてではない。フォークランド諸島民の自決権は、自らの天然資源を開発する権利にも及ぶことは明白だ」とした。

2013年の住民投票では、島民は圧倒的多数でイギリスの海外領土であり続けることを選択した。賛成票は99.8%、反対票はわずか3票だった。

支持率回復のための方策か

ミレイ氏は演説の中で、「もし我々が数カ月以内に迅速に行動しなければ、彼らは我々の海底に眠る石油にアクセスできる物質的な能力を持つことになるだろう。これはこれまで一度も起こったことのない事態だ」と述べた。

島々から約250キロメートル離れたシーライオン油田には、推定17億バレルの石油が埋蔵されている。

英石油ロックホッパー・エクスプロレーションとイスラエル同業ナヴィタス・ペトロリアムは、2年以内にこの場所で石油採掘を開始する予定だが、ミレイ氏はアルゼンチンはそれを許すことはできないと述べた。

ロックホッパーはこの油田について、「市場価値の高い原油」が含まれていると述べている。

ナヴィタスは過去に発表した動画で、フォークランド諸島で既に実施している事業を紹介している。これにはドックやヘリポートの建設、作業員向けの宿泊施設の建設などが含まれている。

BBCは、ミレイ氏の最新の発言について、両社にコメントを求めている。

フォークランド諸島をめぐる今回の事態のエスカレートは、アルゼンチンの内政と地域政治の両方が背景にある。

アルゼンチンではミレイ氏の支持率が急落し、現在は34%前後で低迷している。大統領選挙まであと1年しかなく、かつての自身の副大統領であるビクトリア・ビジャルエル氏からの厳しい挑戦に直面していることから、票を固める必要がある。

軍とつながりの深いビジャルエル氏は、フォークランド諸島をめぐるミレイ氏の外交的取り組みを批判してきた。今回の制裁措置は、アルゼンチンのアイデンティティーにとって極めて重要なこの問題において、ミレイ氏が「弱腰」だという非難をかわすための、より広範な試みの一環である可能性がある。

ミレイ氏にとって有利なのは、これが主権や自決権といった広範な問題ではなく、油田での差し迫った石油探査という具体的な事案である点だ。ミレイ氏は、紛争が未解決の間は双方が一方的な行動をとらないよう求める国連決議に、イギリスが違反していると主張している。

アメリカの立場は変わるのか

ミレイ氏はまた、アルゼンチン南部沖の島々ティエラ・デル・フエゴに海軍基地を建設する計画を発表。さらに、アメリカとドナルド・トランプ大統領は「フォークランド諸島に関する歴史的な立場を再評価している」と述べた。

「これは空虚な言葉ではなく、アルゼンチンが今後数十年にわたって信頼できるパートナーであり、貴重な同盟国であることを彼ら(アメリカ)は理解している」とミレイ氏は語り、一方でイギリスを「衰退している国」と評した。

「世界には、我々の主張に有利な変化の風が吹いている」

トランプ氏は3日、GBニュースのインタビューで、領土紛争が発生した場合にアメリカが「イギリスを支援する」かどうかを問われた際、イランとの戦争においてイギリスは「私を助けてくれなかった」と答えた。

これまでのアメリカ政権は、フォークランド諸島に対するイギリスの実効支配を正式に認めてきたが、主権についての公式な立場は示してこなかった。

ミレイ氏のスピーチの数時間前、アメリカのサラ・ロジャーズ国務次官(公共外交担当)は、「西半球では刺激的な出来事が起こっている」という文章と共に、ミレイ氏とのツーショット写真をソーシャルメディアに投稿した。

フォークランド諸島は1833年以降、イギリスの統治下にある。一方で、アルゼンチンは歴史的に同諸島はスペイン王室から継承したものであり、また南米大陸に近接していることを理由に、同諸島に対する権利があると主張してきた。同諸島はアルゼンチン本土の東、約483キロに位置し、同国の公用語であるスペイン語ではマルビナス諸島と呼ばれる。

1982年には、フォークランド諸島をめぐってイギリスとアルゼンチンが10週間にわたり衝突した。この紛争では、アルゼンチン軍の649人、イギリス軍の255人が死亡したほか、フォークランド諸島の住民3人が命を奪われた。

この問題に関する両国間の緊張が続いていることを示すように、今年アメリカで行われたサッカー男子ワールドカップ(W杯)北中米大会の準決勝では、イングランドに勝利した後、アルゼンチンの選手たちが自国の領土主張を支持する横断幕を掲げた