アメリカ、台湾への武器売却を一時停止 イランとの戦争が理由と

スーツを着た男性がマイクの前で話している

画像提供, CQ-Roll Call, Inc via Getty Images

画像説明, 米海軍のハン・カオ長官代行(21日、米首都ワシントン)
Published
この記事は約 3 分で読めます

米海軍のハン・カオ長官代行は21日、イランとの戦争に向けて十分な兵器を確保するため、台湾への140億ドル(約2兆2200億円)規模の武器売却を一時停止していると、上院の公聴会で認めた。

これに先立ち台湾への武器売却をめぐっては、ドナルド・トランプ米大統領が承認についての態度を明確にせず、台湾の頼清徳総統と自分が協議すると発言していた。

台湾総統府の報道官は22日、記者団に対し、「武器売却に関するアメリカ側の調整」について、何も情報を受け取っていないと述べた。

アメリカによる台湾への武器売却について、中国は長年にわたり不満を抱いてきた。中国は台湾を、自国の領土の一部だとし、統一のために武力を行使することを排除していない。

カオ長官代行は21日の上院軍事委員会公聴会で、「現在、我々は『エピック・フューリー(壮絶な怒り)』に必要な弾薬を確実に確保するため、(武器売却を)一時停止している。弾薬は十分にある」と述べた。エピック・フューリーは、イランに対する米・イスラエル共同軍事作戦の名称。

「我々はただ単に、必要なものが全てそろっているかを確認しているだけだ。対外的な武器売却は、政権が必要と判断した時に継続する」とも、カオ氏は述べた。

武器売却の一時停止について台湾側から何を聞いているかとの質問には、「台湾側とは話していない」と述べた。

140億ドルの武器売却パッケージは数カ月前から、トランプ大統領の承認を待っている。ロイター通信が今年3月に報じたところによると、ロッキード・マーティンのPAC-3などの防空ミサイルや地対空ミサイルシステムが含まれている。

トランプ大統領は、この武器売却に最終承認を与えるかを明らかにしていない。先週にはFOXニュースに対し、これは中国との「非常に良い交渉材料」だったと述べた。記者団に対しては、「比較的近いうちに判断する」と話していた。

トランプ氏の一連の発言は、中国の習近平国家主席と北京で会談した直後のものだった。アメリカとの首脳会談で中国側は、台湾問題が米中間で最も重要な問題だと強調していた。

トランプ氏はその後、記者団に対し、台湾への武器売却について習氏と「非常に詳細に」協議したと述べた。しかしアメリカは1982年に台湾に対し、この問題について中国とは協議しないと約束している。

トランプ氏はさらに、この売却について台湾の頼総統と直接協議とも述べたが、これは外交慣例を大きく逸脱することになり、中国政府の反発を招く可能性が高い。

アメリカと台湾の首脳が直接会話することは数十年にわたりなかったが、トランプ氏は大統領当選後に次期大統領として、頼氏の前任の蔡英文前総統と会談している。

トランプ政権は昨年12月、台湾への110億ドル(約1兆7000億円)相当の武器売却を承認した。これは、過去最大級のパッケージの一つで、これには高性能ロケット発射装置や様々なミサイルが含まれる。

中国は当時これを強く非難し、中国外務省は「台湾海峡を巡る状況が危険で暴力的な方向へ加速する」と述べていた。

一方、台湾の頼総統は、アメリカの武器売却が「地域の平和と安定を維持するための重要な要因だ」と強調している。

頼政権の下で、台湾は中国からの軍事圧力拡大に対応するため、防衛支出を大幅に増加させている。