英首相、イラン市民へのトランプ氏の脅しは「間違っている」と 米軍のイラン港湾封鎖にイギリスは参加せず

画像提供, イギリス議会下院
ベッキー・モートン政治記者
イギリスのキア・スターマー首相は13日、ドナルド・トランプ米大統領が、イランが戦争終結に同意しなければ「一つの文明がまるごと滅ぶ」と脅したことについて、英議会下院で「間違っている」と述べた。
トランプ氏は、アメリカとイランとの間で2週間の停戦が合意される前の7日朝、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に、「今夜、一つの文明がまるごと滅び、二度と回復しない」と投稿し、国内外から批判された。
スターマー氏はこれについて、自分なら同じ表現は使わなかったはずだとも述べた。
また、米軍によるイランの港湾に対する封鎖にイギリスは関与しないと認めた。この封鎖は、トランプ氏が12日に発表したもので、英時間13日午後3時(日本時間13日午後11時)に始まった。
スターマー氏は13日の下院で、イギリスは「引き続き、戦争には加わらない」とし、重要な国際海路であるホルムズ海峡の再開に尽力していると述べた。
トランプ氏が「一つの文明がまるごと滅びる」という脅しを投稿してから約半日後の7日夜、アメリカとイランは条件付きで2週間の停戦に合意した。
しかし、アメリカと共に戦争に参加しているイスラエルは、引き続きレバノンを爆撃している。また、イランも依然として、ホルムズ海峡へのアクセスを制限している。
先週末にアメリカとイランの間で行われた和平協議は合意に至らずに終了した。トランプ氏はその後、米軍にこの海峡を出入りしようとするすべての船舶を封鎖するよう指示したと発表した。
トランプ氏は13日にも「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、アメリカの封鎖戦に接近するイラン海軍の艦艇は「即座に排除される」と警告した。
英議会ではトランプ氏の脅しについて、野党・自由民主党のエド・デイヴィー党首が、トランプ氏はこの脅しを実行に移さなかったものの、「こうした発言は、この大統領がいかに無謀で、不道徳で、そして完全に国際法の枠外にいるかを痛烈に示している」と述べた。
さらに、ホルムズ海峡を封鎖するというトランプ氏の計画は、「この危機を拡大させ、不安定な停戦を危険にさらすだけだ」と付け加えた。
スターマー氏はこれに答弁する形で、「文明を破壊するという言葉遣いに関して言えば(中略)それは間違っている。そのような形でイランの民間人を脅すことは間違っている」と述べた。
「忘れてはならないが、イランの市民たちは、イランの体制によって長年にわたり計り知れない苦しみを受けてきた人たちだ」
「だからこそ、そのような言葉や表現を私は決して、この政府を代表して使ったりしない。この一連の事態を通じて、私たちの原則と価値観が一貫して、この政府を導いている」
スターマー首相はまた、紛争終結とホルムズ海峡の再開に向けた外交努力に焦点を当てると表明。さらに、状況が再び安定した際に海上輸送に安心感を与えるための軍事計画も扱う首脳会合を、イギリスとフランスが共同開催すると述べた。
最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、政府のこの動きを歓迎しつつも、「話し合うだけでなく、その先へ進む必要がある」と述べた。
そのうえでベイドノック党首は政府に対し、長らく遅れている防衛投資計画を公表すること、また、エネルギー価格の急激な変動に対するイギリスの脆弱性(ぜいじゃくせい)を低減するため、北海での石油・ガス掘削に承認を与えるよう求めた。
通常は世界の石油と液化天然ガス輸送の約2割が、ホルムズ海峡を通過する。アメリカとイスラエルによる攻撃が2月28日に始まって以降、イランは事実上、この航路を遮断している。
イランは一部の船舶の通過を選択的に認めているが、アメリカの封鎖は、同海峡を通過する船舶に課される通行料や、石油輸出収入からイランが利益を得るのを防ぐことを目的としている。
紛争が始まって以降、原油価格が急騰し、世界各地でエネルギー価格の上昇を招いている。
首脳の意見相違、副官の意外な友情
イランでの戦争をめぐってはトランプ氏はたびたび、公の場でスターマー氏を批判している。スターマー氏がイランへの攻撃に加わらない決定した際には、彼は「ウィンストン・チャーチルではない」と述べた。
戦争をめぐり両首脳の関係が悪化しているように見える中、両国の政府内では副官同士、つまりJ・D・ヴァンス米副大統領とデイヴィッド・ラミー英副首相兼司法相の関係が重要視されている。
この意外な友情は、労働党が野党だった当時にラミー氏がその下院議員だった時期、そしてヴァンス氏が連邦議会の上院議員に当選したばかりの頃に始まったという。昨年には、ヴァンス氏と家族が夏季休暇でイギリスを訪れた際、ラミー氏のもとに滞在した。
スターマー氏とトランプ氏の間には食い違いがあるものの、ラミー氏は13日にアメリカを訪問し、ホワイトハウスでヴァンス氏およびマルコ・ルビオ米国務長官と、個別に会談した。
ラミー氏はその後ソーシャルメディアに、「パキスタンでの協議を終えた友人のJ・D・ヴァンスと、ワシントンで再会できて最高だった」と、握手する2人の写真と共に投稿した。
また、「停戦が継続し、ホルムズ海峡を通じた海上輸送が再び自由に流れるようにすることが極めて重要だ。我々は、ウクライナにおける公正で永続的な平和に向け、引き続き協力している」とも書いた。











