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米司法省、コーミー元FBI長官を再び起訴 写真投稿でトランプ氏の命を脅かしたと
ナーディーン・サアド、サリーン・ヘイブシアン
米司法省は28日、米連邦捜査局(FBI)の長官だったジェイムズ・コーミー氏をあらためて起訴した。今回の罪状は、コーミー氏が昨年5月にインスタグラムへ短時間投稿した貝殻の写真が、ドナルド・トランプ大統領の命を脅かしたというもの。司法省は昨年9月、偽証罪で元長官を起訴したが、連邦地裁は昨年11月に起訴を無効としていた。トランプ氏が2017年5月にコーミー氏をFBI長官の職から電撃解任して以来、2人の対立は続いている。
コーミー氏が昨年インスタグラムに投稿した画像には、砂浜に並べられた貝殻が「86 47」という数字が形作られていた。ウェブスター辞典によると、「86」という数字は1930年代発の米俗語で「捨てる」「拒絶する」「売り切れ」「取り除く」などの意味を持つが、最近ではごくまれに「殺す」という意味でも使われることがあるという。
コーミー氏は、画像の数字が何を意味するのか知らなかったと説明しているが、トランプ大統領や当局者らは、この投稿は第47代大統領、つまりトランプ氏に対する脅迫だと主張している。
コーミー氏は今回の起訴について、「私は今も無実で、私は今も怖がっていない、今も連邦司法制度の独立を信じているので、さあやろう」と述べた。
「さて、(トランプ政権が)また来た。今回は、1年前にノースカロライナ州の浜辺にあった貝殻の写真の件だ。これで終わりではないだろうが、私自身は何も変わっていない」とも、コーミー氏は述べた。
元長官の起訴を記者会見で発表したFBIのカシュ・パテル長官は、元FBI長官だったコーミー氏が「あのような投稿をすれば、どう注目されて、その結果どうなるか、完全に理解していたはずだ」と述べた。
「ジェイムズ・コーミーは恥ずべきことに、トランプ大統領の命を脅かす内容を助長し、それを世界に向けてインスタグラムに投稿した」とパテル長官は強調した。
コーミー氏は、2016年米大統領選挙へのロシア介入について捜査を開始した後、トランプ大統領に解任された。それ以降、トランプ氏は同氏の起訴を繰り返し求めており、トランプ政権による起訴は今回で2度目。
訴訟資料によると、コーミー氏は大統領に対する脅迫と、州をまたぐ商業媒体で脅迫を伝達した罪に問われている。それぞれの罪の量刑は、最長10年の禁錮刑。
起訴は、貝殻が見つかったとされる地域と同じノースカロライナ州東部地区で提起された。
「アメリカ合衆国大統領の生命を脅すことは、我が国の法に対する重大な違反である」と、トッド・ブランチ司法長官代行は述べ、「大陪審はジェームズ・コーミーがまさにそれを行ったとする起訴状を提出した」とした。ブランチ氏は以前、トランプ氏個人の顧問弁護士だった。
米シークレット・サービス(要人警護隊)は昨年5月、この貝殻の写真についてコーミー氏に事情聴取している。コーミー氏はインスタグラムの投稿を削除し、その後の投稿で「(貝殻は)政治的なメッセージだと考えた」と述べた。
さらに、「その数字を暴力と結び付ける人がいるとは気付かなかった」、「まったく思いもよらなかったが、いかなる暴力にも反対しているため、投稿を削除した」と付け加えた。
長年にわたりコーミー氏を批判してきたトランプ大統領は、この投稿について「子どもでもそれが何を意味するか分かる」と述べた。
法律の専門家の中には、今回の起訴は根拠が乏しいという指摘がある。トランプ氏が自分の政敵と見なす相手を、司法省が標的にし続けることについて、疑問がさらに増えたという意見もある。
起訴の根拠は「とても弱い」と、憲法を専門とする米ノースカロライナ大学ロースクールのマイケル・ガーハート教授は話す。
コーミー氏のソーシャルメディア投稿は、合衆国憲法修正第1条で保護される表現の自由に当たると、裁判所が判断する可能性が高いとも、同教授は述べた。
ジョージ・W・ブッシュ政権で司法次官補を務めたジミー・グルレ元連邦検事は、今回の起訴を「アメリカの刑事司法制度にとっての恥」と評した。
現在は米ノートルダム大学ロースクールで教えるグルレ教授はBBCに対し、「司法省は、ジェイムズ・コーミーがトランプ大統領を脅したり危害を加えたりする意図を持っていたと、合理的疑いを超えて立証できないはずだ」と述べた。
「この起訴は、大統領が政敵と見なす人間を威圧するための露骨な動き」だともグルレ教授は指摘した。
司法省がコーミー氏を起訴するのは今回が2度目。連邦大陪審は昨年9月下旬、コーミー氏が2020年9月の議会証言で虚偽の説明をし、議会手続きを妨害したとして同氏を起訴した。この数日前には、トランプ大統領がパム・ボンディ司法長官(当時)に対し、コーミー氏を含め、自分に政治的に対立する者をいっそう積極的に捜査するよう要求していたことが明らかになっていた。
この起訴を受けてコーミー氏は昨年10月に法廷で無罪を主張。キャメロン・カリー連邦地裁判事は翌月、担当検事の任命が「無効」だったとして、コーミー氏に対する起訴を退けた。
判事は、起訴を担当したヴァージニア州のリンジー・ハリガン検事に、大陪審に起訴案件を提出する権限がなかったと判断した。ハリガン氏は元ホワイトハウス補佐官で、検察官として事件を担当した経験はなかった。
一方で判事は、政府があらためてコーミー氏を起訴する余地を残した。
28日にはニューヨーク州南部地区の連邦判事が、コーミー氏の娘モーリーン・コーミー元連邦検事が、トランプ政権による解雇は不当だと訴えた訴訟を進めることができるとの判断を示した。