トランプ氏参加のホワイトハウス記者会夕食会で銃声、男性を拘束 トランプ氏は退避

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米首都ワシントン中心部のホテルで25日夜、毎年恒例のホワイトハウス記者協会(WHCA)主催の夕食会に出席していたドナルド・トランプ米大統領が、シークレットサービス(大統領警護隊)に促されて避難した。現場では複数の発砲があったとされ、シークレットサービスの1人が防弾装備越しに負傷したという。トランプ氏はソーシャルメディアに銃撃犯が「拘束された」と書いた後、ホワイトハウスで記者会見し、「頭のおかしい人間」の行動だと発言し、拘束された容疑者だという人物の写真も公開した。

ワシントン・ヒルトン・ホテルで開かれていた夕食会での状況について、警備関係者によると7~8発の発砲があったという。米連邦捜査局(FBI)は、容疑者を拘束したと発表した。

ワシントン市警のジェフリー・キャロル本部長代行は、逮捕したのはカリフォルニア州在住のコール・トーマス・アレン容疑者(31)だと発表。容疑者はワシントン・ヒルトン・ホテルの宿泊客で、「ショットガン、けん銃、複数の刃物」を持っていたという。ホテル内に警察が設けていた検問ポイントで取り押さえられ、銃で撃たれたわけではないものの、近くの病院で診察を受けているという。

コロンビア特別区(首都ワシントン)のジャニーン・ピロ連邦検事は、火器を使用した暴行の罪と、危険な武器を用いて連邦職員を襲撃した罪で、容疑者を27日にも起訴する方針を示した。

ほかに、防弾装備を着けていた制服姿のシークレットサービス隊員が装備越しに撃たれて負傷し、病院で手当てを受けているという。

事件は現地時間午後8時半(日本時間26日午前9時半)ごろに発生した。しばらくして、シークレットサービスの報道官は、トランプ大統領やファーストレディのメラニア・トランプ氏をはじめ、シークレットサービスの警護対象者は全員無事だと発表した。

トランプ氏は夕食会の会場を避難した後、「ファーストレディと副大統領、閣僚全員はみんなまったく大丈夫だ」とソーシャルメディアに投稿した。さらに、「『ショーは続けるように』と勧めたが、捜査当局の助言にもちろん従う」と書いていた。

ホテルの外には警察車両が集まり、上空では複数のヘリコプターが飛んだ。日本時間26日午前11時前に、大統領の車列がホワイトハウスへ戻る様子が確認された。

その後、記者会の夕食会は中止されたと発表があり、記者団はホワイトハウスへ戻った。

異変の報告を受けた際、ホワイトハウス関係者のテーブルにいた大統領は、会話の途中だった様子。大きな音が繰り返し聞こえ、その後、複数のシークレットサービス職員が「伏せて、伏せて」と叫びながら、大統領を会場の外へ誘導した。

J・D・ヴァンス副大統領やスティーヴン・ミラー大統領顧問、ロバート・F・ケネディ・ジュニア厚生長官などが、警備に付き添われて会場の外へ出る様子も確認された。ほかの出席者の多くは、騒ぎの最中に一時身をかがめたが、大統領が退避した後もしばらく会場内にとどまった。

ホワイトハウス記者協会の理事を務める米FOXニュースのジャッキー・ハインリッヒ記者は、ソーシャルメディア「X」に、銃を持った人物が金属探知機を通過しようとしたようだと書いた。記者によると、トランプ大統領は近くの部屋にしばらく避難し、夕食会を続けたいと述べていたものの、捜査当局に促されて会場を離れたという。

ホワイトハウスに戻ったトランプ氏は日本時間午前11時半過ぎに記者会見し、この日の夕食会は「表現の自由にささげられたイベントで、団結を図るためのものだった」と述べた。

何かの音を最初に聞いた時、食器を運ぶ盆が落とされた音か銃弾か分からなかったとして、「盆だといいなと思ったが、そうじゃなかった」と話した。

トランプ氏はさらに、ホテルで拘束された男性の写真を自分のソーシャルメディアで公開したと明らかにした。「透明性」のためだという。容疑者について捜査当局が発表する前に公開された写真には、若い男性に見える人物が床に押さえつけられている様子が写っていた。

トランプ氏は、拘束された人物は「とても病んだ人間」で「このようなことは起きて欲しくない」のだと述べた。また、シークレットサービスの隊員1人が至近距離から撃たれたものの、防弾チョッキによって助かったのだと明らかにした。

大統領は、夕食会の主催者や、現場で「責任ある」報道をした報道陣に感謝し、30日以内にやり直しを企画すると話した。

トランプ氏はさらに、自分を殺害しようとした事件が過去に複数回あったとしたほか、ホワイトハウス敷地内で建設を計画しているボールルーム(宴会場)に触れ、今夜のような事態を避けるためにも「ホワイトハウスで進めている計画にいろいろな要素が含まれている」のだとして、「誰も見たことがないほどの警戒レベルが必要だ」と強調した。

なぜ自分が狙われたと思うかという質問にトランプ氏は、自分は暗殺についていろいろ調べていると答え、「一番影響力の大きい」「ビッグネーム」が狙われるのだと思うので、その意味では「残念ながら光栄」だと話した。さらに自分の政権は国のためにたくさんのことをしてきたが、一部の人は喜んでいないのだとも述べた。

当局は単独犯だと確信しているのかという質問には、自分は捜査のプロではないので分からないとしつつ、「単独のいかれた奴だったという印象だ」と答え、「頭のおかしい連中で、対応しないとならない」と述べた。

夕食会の会場にいたBBC記者によると、現地時間午後8時半ごろ、夕食の最初のコースのサラダを食べ終えた時に、ガラスが砕けるような音がしたという。

BBC記者たちはその後、テーブルの下にもぐりつつ、状況を撮影したりBBCラジオ用に状況を伝えた。報道陣が集まった会場で、他社の記者たちも同様に、異常事態を伝えていたという。

夕食会の開催にあたり、会場となったホテルの周辺には厳しい警備が敷かれ、参加者が会場に入るには空港並みの警備と検査を通過する必要があった。