警察の拘束中に男性が死亡、抗議デモで数十人が負傷 伊ボローニャ

イタリアの伝統的な広場で、デモ参加者と警察が衝突する様子。左側にデモの群衆、右側に警官の隊列がおり、中央でぶつかり合っている。警官は盾とヘルメット、警棒を装備している。奥には警察車両や、抗議者の掲げる横断幕などが見える

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画像説明, 警察に拘束されていた男性が死亡したのを受け、抗議するデモ隊が機動隊と衝突した。検察は、警察による過失致死の疑いで捜査を開始した(20日、イタリア・ボローニャ)
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ラウラ・ゴッツィ記者

イタリア北部ボローニャで、モロッコ生まれの男性が警察官2人に強制的に拘束された際に死亡した事件を受け、イタリア各地で抗議デモが行われた。20日夜には数千人が街頭に繰り出し、「アブデルラヒム・ファキルへの正義」を求めた。

ボローニャでは大きなデモ隊が少人数のグループに分かれ、夜通し警察と衝突した。検察によると、この騒乱で警察官64人が負傷した。

イタリアのジョルジャ・メローニ首相は、ファキルさんの死をめぐる真相究明は不可欠だと述べたうえで、「どのような理由があっても、捜査当局に対する暴力は正当化されない」と強調した。

事件は19日に起きた。当日朝、ボローニャの労働者階級地区ピラストロの住民が、ファキルさんが「異常な行動」を取り、ガレージのシャッターを蹴っているのを目撃し、警察に通報した。警官は事態を沈静化しようとして、催涙スプレーを使用した。

イタリアのメディアで拡散されている動画には、うつ伏せにされたファキルさんの上に警官2人が座り込んでいる様子が映っている。ファキルさんは動画内で、やめてくれと叫んでいる。また、警官ではない3人目の人物がファキルさんの両足を押さえつけており、救急隊員らがそのそばに立っている。

動画開始から約2分後、ファキルさんは抵抗しなくなる。警官らはファキルさんの両手首と両足首を縛るが、ファキルさんが動かなくなったことに警官の1人が気づき、ファキルさんの頬を2回、平手打ちする。救急隊員らが到着する頃には、ファキルさんが意識不明なのは明らかだった。

ボローニャの検察当局は、現場に居合わせた警察官と医療従事者らについて、過失致死の容疑で捜査を開始した。

複数の目撃者がメディアに対し、ファキルさんは何かに苦しんでいるように見えたものの、誰かを脅迫するような言動はなく、明らかに武器も持っていなかったと語った。

ファキルさんの女きょうだいのカディージャさんは「こんな死に方は許されない」と伊メディアに話した。「(警官たちは)彼を容赦なく殺した。私は真実を知りたい」。

ボローニャのマッテオ・レポーレ市長は、イタリアの新聞ラ・レプッブリカに対し、この動画を見た人は誰もが「衝撃を受けた」と話した。

市長は、20日夜にはボローニャ中心部でデモを行うよう呼びかけ、ファキルさんのめいをステージに招いた。

ヨスラ・ファキルさんは、「彼は私のおじだった。単なる数字でも、ニュース記事の見出しでもない(中略)彼は愛されていた」とは語った。「おじは人に助けてもらい、話を聞いてもらうに値する人だった。尊厳をもって扱われるに値する人だった」

20日夜の主要なデモは平和的に行われたものの、約100人の参加者が、夜通し警察と衝突し、車2台に火を放った。

レポーレ市長は21日にこの件に言及し、ボローニャには「何千人もの人々が平和的かつ自発的に集まり、アブデルラヒム・ファキルの家族への支持を表明した」広場と、「暴力には暴力で対抗できると考えている」少数のグループという、「二つの異なる広場」があったと述べた。

一方、イタリアの警察組合のドメニコ・ピアネーゼ事務局長は、デモを呼びかけたレポーレ氏の決定が混乱につながったと批判した。

ピアネーゼ氏は、「このような劇的な出来事の翌日に抗議を呼びかけるなど、無政府主義者を装うあらゆる人、警察に批判的なあらゆる人に、この機会を利用して国家に抗議するよう呼びかけるようなものだ」と述べた。

一方、ファキルさんの拘束時に警察がどのように対応を誤ったのかという質問には、「我々が見た映像から判断すると、介入は正しく行われた」と述べた。

ピアネーゼ氏は、警官2人が催涙スプレーを使用したことと、ファキルさんを取り押さえるために民間人の助けが必要だったことから、威力行使は過剰ではなかったことを示していると話した。

「(事件後に)警官たちは真っ先に、すべての(ボディカメラの)映像を検察官に提出した」とも述べた。

薄暗い広場に大勢の市民が集まり、横断幕やファキルさんの写真を掲げている。赤や黒の布で顔を覆っている人もいる

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画像説明, アブデルラヒム・ファキルさんへの正義を求めるデモに人々が参加した

メローニ首相は、一連の出来事を「容認できない」と述べた。

ファキルさんの死については「徹底的に調査されるべき」だとしながらも、「いかなる理由があっても、警察官に対する暴力は正当化されない」と、首相は述べた。

「この事件を口実に街に火を放ち、警官を襲撃し、暴力をまき散らそうとした者たちは、真実を求めていたのではなく、対立を求めていた」

イタリアのメディアによると、ファキルさんの家族は30年以上前にイタリアに移住。それ以来、ボローニャ近郊に住んでおり、ファキルさんは小さな物流・配送会社を経営していたという。

ファキルさんの居住許可申請を担当したバルバラ・スピネッリ弁護士は、フェイスブックへの投稿で、「(ファキルさんは)勤勉で親切な人だった。その彼がなぜ、彼の命を守ることが職務のはずの人たちによって、命を落としたのか、自問自答してみてほしい」と述べた。

ボローニャでの抗議活動で掲げられたプラカードの中には、過去に警察の拘束中に死亡した人々に言及したものもあった。例えば、2009年に警察に6日間拘留された後に死亡したステファノ・クッキさんの事件などが挙げられる。

クッキさんの姉で現在は野党「緑の党と左翼同盟」に所属するイラリア・クッキ上院議員は、政府が警察に示した「連帯」を批判した。

同じく野党・中道左派の民主党(PD)のフランチェスコ・ボッチア上院議員も、「もし右派がICE(米連邦移民捜査局)の手法を導入したいなら、ここはそれにふさわしい国ではない」とメディアに語った。