レバノンで30人以上死亡、イスラエルが空爆を強化

レバノンの南部と東部で26日にかけ、イスラエルによる激しい空爆があり、レバノン当局によると計30人以上が殺害された。これに先立ちイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラに対する軍事行動を強化する方針を示していた。一方でイスラエル軍は、27日早朝にレバノンから飛翔体が発射され、イスラエル北部でサイレンが鳴り響いたとの声明を出した。
イスラエル軍機による空爆は、25日夜から26日未明にかけてレバノン各地で次々と実施された。首都ベイルートは対象から外された。BBCの集計では、50カ所近くで計数十回の攻撃があった。
イスラエルとレバノンの間では4月中旬、アメリカが仲介した停戦が発効した。この夜の爆撃は、それ以降で最も激しい爆撃となった。
地元メディアは、レバノン東部ベカー渓谷(高原)にあるマシュガラ村や、南部ブルジュ・アル・シャマリが標的になったと報じた。
国営メディアによると、一部の攻撃は、中東の「最も保存状態の良い中世の城の一つ」だと国連教育科学文化機関(ユネスコ)によって認められている、築900年近い要塞ボーフォート城の近くを直撃したという。
レバノン保健省は、この夜の各地での空爆で、子ども数人を含む少なくとも31人が殺されたと発表した。
一方、イスラエル軍は、ヒズボラのインフラ施設100カ所以上と戦闘員らを攻撃したと発表した。
イスラエルのネタニヤフ首相は25日、ヒズボラへの攻撃を「いっそう強くする」よう指示したとする声明を発表していた。これを受け、ヒズボラが拠点としているベイルート南郊では、避難する住民らの車の長い列ができるなど、パニックが広がった。
ネタニヤフ氏は26日の安全保障閣僚会議でも、「レバノンでの作戦を拡大している」と説明。「IDF(イスラエル国防軍)は地上に大規模な部隊を展開し、戦略的に重要な地域を掌握している」とした。また、イスラエル北部のコミュニティーをヒズボラの攻撃から守るため、「安全地帯を強化している」と述べた。
イスラエルとレバノンの間では停戦が発効しているものの、双方が繰り返しこれを破っていると報じられている。イスラエル軍は、レバノン南部を中心に空爆や砲撃を連日のように実施。ヒズボラは、イスラエル北部の集落や、レバノン南部の一部を占領しているイスラエル軍に対し、ロケット弾やドローンを発射し続けている。
こうした停戦違反は、アメリカ、イスラエル、イランが進めている戦闘終結に向けた複雑な協議を妨げる恐れもある。
空爆で民家も破壊
レバノン国営通信(NNA)によると、25日夜の空爆では、南部アラブ・サリム町の住宅で夫婦が殺害された。カウタリエット・エル・レズ村でも2人が殺されたという。
マシュガラ村では数戸の住宅が破壊された。レバノン保健省によると、がれきの中から、女性1人と子ども2人を含む11人の遺体が見つかった。負傷者も15人に上ったという。
イスラエル軍は、マシュガラ村の上空から撮影した映像を公開し、「テロリストの活動が確認されたヒズボラのインフラ施設」に対する数回の空爆の様子が映っていると説明。「空爆でテロリストらは排除された」と付け加えた。
同軍はまた、レバノン南部でヒズボラが使用していた武器貯蔵施設、指揮所、観測所、その他のインフラ施設90カ所以上を、夜間に攻撃したとした。

画像提供, Reuters
イスラエル軍は26日朝、レバノン各地に対して新たな避難命令を発出。4月17日に発効したイスラエルとレバノンの政府間の停戦合意の条件にヒズボラが違反したと非難した。
一方、ヒズボラは、イスラエルによる「停戦違反への対応」として、イスラエル北部の兵舎3カ所と軍事拠点を攻撃したと発表した。
ネタニヤフ氏がイスラエル軍の攻撃強化を命じたのは、同軍が24日、レバノン南部での戦闘で兵士1人が死亡したと発表したのを受けてのことだった。この兵士の死亡により、現在の紛争が始まった3月2日以降にヒズボラの攻撃で死亡したイスラエル軍関係者は、民間契約者1人を含め23人となった。
レバノン保健省によると、同じ期間にイスラエル軍の攻撃で死亡した人は、少なくとも3185人に上っているという。











