ロシアのペスト研究所の職員が死亡、アメリカは事態を「注視」していると

ホワイトハウスの屋外で記者やカメラに囲まれているトランプ氏
画像説明, ドナルド・トランプ米大統領は、アメリカはこの件を「注視」しているが、ロシア政府とは協議していないと話した(5日、米首都ワシントン)
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パトリック・ジャクソン記者

ドナルド・トランプ米大統領は5日、ロシア・シベリア連邦管区にあるペスト対策研究所でロシア人職員が死亡した事案について、アメリカは「非常に真剣に」調査していると述べた。

マルコ・ルビオ米国務長官は、今回の事件が肺ペストの蔓延(まんえん)につながる可能性があるとの懸念から、トランプ政権は状況を注視しているものの、警戒する必要はないと述べた。

研究所のあるイルクーツク州のイーゴリ・コブゼフ知事は、職員の死因を「原因不明の肺炎」と発表した上で、この職員の業務に関連する「微生物」は、「研究員の生体試料からは検出されなかった」と述べた。

未確認の情報によると、この女性職員は病原体が入った試験管を割った後、あるいは野生のげっ歯類の間でペストが自然発生している地域でのフィールド調査の後、体調を崩した可能性があるという。

ロシアから疫病が広がるリスクについてアメリカがどのような対策を取るのかと問われたトランプ大統領は、ロシア大統領府(クレムリン)とはまだその件について話し合っていないと答えた。

「彼らがそんな目に遭うのは見ていてつらい」とトランプ氏は述べ、「我々は支援する。そういう問題を抱えている人には、いつでも手を差し伸べる」と付け加えた。

イルクーツク州のコブゼフ知事は、ロシア連邦消費者権利保護・人間福利監督庁(ロスポトレブナゾール)の発表を引用し、職員の死亡以降、ペスト研究所の他の職員が医療機関を受診した事例は他に報告されていないと述べた。

ロスポトレブナゾールは声明で、生物安全チームがシベリア極東ペスト対策研究所を視察した結果、緊急事態は確認されなかったと発表した。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、国民に対し「様々なうわさに耳を傾けるのではなく、ロスポトレブナゾールの公式声明を信頼する」よう促した。

ロシアのメディアは先週、死亡した女性と接触したことが分かっている約200人が、予防措置として医療機関の観察を受けていると報じた。

アメリカのルビオ国務長官は、記者から「ロシアで疑われるペスト症例の最新情報」を尋ねられ、「研究所の職員が感染したようで、少なくとも内部で感染が広がった可能性があるという懸念がある。知っての通り、彼らは様々な隔離措置を取っている」と述べた。

「もしそのような事態が表面化すれば、あっという間に広がる可能性がある。我々は注意深く監視している。警戒すべき事態だとは思っていないが、注視し、注意深く見守る必要がある事態であり、我々はまさにそうしている」

緑色の背景の上に、緑色の繊毛が生えた細菌が描かれている
画像説明, ペスト菌のコンピューターイラスト

ロシアのメディアによると、死亡した女性職員はダリアという名前で、20代後半だった。この女性は最近、モンゴルとの国境にあるブリヤート共和国を訪れていた。

ペスト菌(エルシニア・ペスティス)は、14世紀に黒死病として知られ、ヨーロッパの人口の半数近くを死に至らしめた。ロシアのこの地域で現在、マーモットなどのげっ歯類の間で発生している。

シベリア極東ペスト対策研究所は、1920年代に発生したペストの大流行を受けて、今からちょうど100年以上前に設立された。

英レディング大学の細胞微生物学准教授であるサイモン・クラーク博士は、BBCラジオ4に出演し、ペスト菌による肺炎は治療せずに放置するとほぼ確実に死に至るが、抗生物質で克服できると述べた。

「肺ペストは人から人へ感染する可能性があり、だからこそ懸念されている」とクラーク博士は説明。「感染症が発生すると、人々は当然、ロックダウンや新型コロナウイルスを連想するが、ここではそのようなことは起こらないだろう」とも述べた。

「人々は『ペストか、それはもう終わった、何百年も前に終わった』と思っているが、そうではない」

「それは今も存在し、世界の特定の地域では人間の健康に対する脅威となっている。だからこそ研究する必要がある」

ペスト菌が生物兵器としての利用可能性について研究されていたのではないかと尋ねられると、クラーク博士はその可能性はあり得ると認めたうえで、「ロシアで起きたことなので、人々はそういうことを考えるのだろう。だが、私の先ほどの説明の方がおそらく妥当だと思う」と述べた。