ゼレンスキー氏、アメリカの情報提供は「機能している」 トランプ氏の特使と会談後

画像提供, Reuters
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は20日、ドナルド・トランプ米大統領の特使、スティーブ・ウィトコフ氏と会談した。会談後にゼレンスキー氏は、ロシアのミサイル攻撃に関するアメリカの情報提供について「今は機能している」と述べた。
ノルウェーの首都オスロで行われた会談の直前には、ウクライナがアメリカを、重要情報を提供しないと非難していた。アメリカのマルコ・ルビオ国務長官はウクライナ側のこの主張を否定し、「とんでもない」ことだと反発していた。
会談後の記者会見では、ゼレンスキー氏は「情報(提供)が今は機能していることに感謝している」と述べた。
また、「早期警戒は、私たちの国民、子ども、大人、民間人にとって非常に重要だ。弾道ミサイルがいつ飛んでくるのか、耳でわかるからだ。だから、アメリカ側には感謝している。今は機能している。素晴らしいことだ」とした。
ゼレンスキー氏はさらに、米スペースXの衛星通信サービス「スターリンク」へのアクセスについても、良い結果を期待していると述べた。同サービスをめぐっては、ウクライナ軍がこのところ、ロシアに対するドローン攻撃で速度制限がされていると報告していた。
ゼレンスキー氏はまた、この日の会談では、ウクライナに対する「強力な」安全の保証や、エネルギー停戦の案についても話し合ったと述べた。
大統領は、ウクライナは戦争終結に向けた「交渉の準備ができている」と改めて表明。「もちろん、私たちはこの戦争で負けてはいない。だが、ロシアの攻撃によって人命を失っている」と述べた。
会談には、フィンランドのアレクサンデル・ストゥブ大統領も同席した。同大統領は会談後、和平実現に向けた提案で「真の進展」があったと述べた。だが、詳細は明らかにせず、忍耐が必要だと警告した。
同じく会談に加ったノルウェーのヨナス・ガール・ストーレ首相は、ロシアとウクライナの戦争終結のあらゆる議論において、ヨーロッパが「参加している必要がある」と強調した。
アメリカのウィトコフ特使は、会談後の記者会見には出席しなかった。もう一人の主要特使で、ドナルド・トランプ大統領の娘の夫のジャレッド・クシュナー氏は、この日の会談にオンラインで参加した。
米当局者は会談について、「非常に生産的かつ建設的」だったと説明。アメリカ、ウクライナ、ヨーロッパの間で、「次のステップ」に関して「実務レベルの強い連携があった」と述べた。
この当局者によると、ウィトコフ氏は21日にロシアでウラジーミル・プーチン大統領と会い、和平案について協議する予定。クシュナー氏もオンラインで加わるという。
ゼレンスキー氏と、ウクライナを支援する欧州各国は、ウィトコフ氏がロシア・サンクトペテルブルクに到着した際、ロシアは今回のオスロでの合意案への対応を示すべきだとしている。
プーチン氏は最新の展開について、まだ公にコメントしていない。ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は、クレムリン(ロシア大統領府)としてウィトコフ氏の提案には耳を傾けるが、「いかなる政治的譲歩」もしないと述べている。
トランプ氏はウクライナに「取引」求める
ウクライナとアメリカの関係は、ここ数週間で悪化している。
トランプ氏は、ウクライナには新しい大統領が必要だとまで述べている。最近も「誰か別の人物がウクライナのために交渉すべきだ」と発言している。
アメリカでは11月3日に中間選挙が行われる。アメリカが主導するイランとの戦争が始まって以来、上昇を続けている燃料価格について、トランプ氏は、ウクライナによるロシアの石油精製施設への攻撃が原因だと主張している。
トランプ氏は、ゼレンスキー氏がオスロで記者会見に臨んだ後、ホワイトハウスで記者団に対し、ウクライナには「取引に応じて合意する」ことを望むと改めて述べた。そして、ロシアは「かたを付けたい」と思っているし、「ウクライナがこの戦争を終わらせるべき時だ」と話した。
ロシアによるウクライナへの本格侵攻は、プーチン氏が2022年に開始した。ロシアは現在、ウクライナ領土の約2割を支配している。
ロシアによるドローン攻撃は20日にもあった。ウクライナ当局によると、首都キーウとその周辺地域で4人、東部ドネツク州で4人、中部の都市ドニプロで2人が殺害されるなど、死者は少なくとも10人に上った。
ウクライナは米の同盟国ではないと米副大統領
ウクライナはアメリカに米迎撃ミサイル「パトリオット」の追加供与を求めているが、20日時点の未確認情報によると、アメリカはまだこれを承認していない。パトリオットは、ロシアの弾道ミサイルを迎撃する唯一の有効な兵器となっている。
インド訪問中のルビオ米国務長官は、パトリオットがまだウクライナに到着していない可能性はあるとしつつ、アメリカが意図的にウクライナに対して拒んでいるものは何もないと強調した。
ヨーロッパの指導者らは、アメリカのロシアに対する最近の声明について、懸念を表明している。
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は19日、戦争に関して「さまざまな見方やメッセージが混在している」と現状を分析。自分はアメリカ政府に「これは私たちが一緒に解決しなくてはならない問題」なのだと説得に努めているとした。
そして、「これは私たちの予算にとって本当に大きな負担で、欧州連合にとっても非常に大きな問題だが、私たちはその負担を担っているし、この恐ろしい戦争が終わるまで続けようと努力している」とブルームバーグTVに話した。
一方、アメリカのJ・D・ヴァンス副大統領は19日のインタビューで、ウクライナをアメリカの同盟国とみなしているかと問われると、「確かにいくつかの点ではパートナーだ。だが時折、利害の相違が生じる。例えば(中略)ウクライナはロシアのエネルギーへの爆撃をやめるべきだと、私は考えている」と答えた。
さらに、「私が知る限り、ウクライナとは正式な同盟関係にはない。(ウクライナは)NATO(北大西洋条約機構)に加盟していないし、NATOに加盟すべきだとも思わない。(中略)協力できることもあるが、意見が対立することもある」と述べた。















