英イングランドで干ばつ、半分以上の地域で 環境当局が警告

画像提供, Finnbarr Webster/Getty Images
マーク・ポインティング気候変動担当記者
英環境庁は29日、イングランドの半分以上の地域で干ばつを宣言した。高温で乾燥した天候が、各地の水源に大きな打撃を与えている。
干ばつが宣言されたのは、イングランド中部、東部、南部の大半の地域。これは、今後さらに取水制限が実施される可能性を示唆する公的なシグナルだ。
同庁は、河川流量の低下、収穫の早期化、山火事のリスク上昇といった影響がすでに出始めていると説明している。関係地域ではすでに2000万人以上が水の利用を制限されている。
ウェールズの天然資源局は先週、ウェールズ北部とセヴァーン川上流域は干ばつ状態に陥ったと発表している。
スコットランドは干ばつを宣言していないものの、「水不足」を監視している。スコットランド環境保護庁によると、スコットランド東部の一部地域は「深刻な水不足」という最も深刻なカテゴリーに分類されている。
北アイルランドは現在、干ばつに見舞われていない。
現在、干ばつが宣言されたイングランドの地域は以下のとおり。
- イースト・アングリア
- ハートフォードシャーとロンドン全域
- テムズヴァレー
- ハンプシャーとワイト島
- デヴォンとコーンウォール
- ウェスト・ミッドランズ
- ウェセックス地方(ドーセット、サマセット、ウィルトシャー、サウスグロスターシャーを含む)
干ばつに明確な定義はないが、一般的には、人や自然、環境に影響を与える可能性のある、長期間にわたる異常な乾燥状態を指す。
環境庁は、イングランドで干ばつを宣言するかどうかを決定する前に、これらのすべての要素を考慮する。
この宣言は、環境庁が干ばつへの対応を強化していることを示す公的な表明だ。それらの対応には、河川や地下水からの取水量に関する監視と規制の強化などが含まれる。
また、現時点では水利用の制限が行われていない地域でも、今後制限が実施される可能性もある。
環境庁の水資源担当ディレクターで、全国干ばつ対策グループの議長を務めるヘレン・ウェイクハム氏は、「高温と乾燥の天候により、現在私たちは、自然による水の供給よりも速いペースで水を消費している」と述べた。

「気候のむち打ち」
今年の干ばつはやや異例だ。というのも、1月と2月はイギリスの大部分で降水量が多く、貯水池や地下水の補充に役立ってきたからだ。
しかし今年は、晩春から夏にかけて異常なほど暑く乾燥した天候が続いた。湿潤状態と乾燥状態が急激に変化する現象は、「気候のむち打ち(ウィップラッシュ)」と呼ばれることもある。
特に、7月のイングランドの降水量はこれまでのところ平均の7%にとどまっており、イングランド南部ではわずか1%となっている。デヴォン州とハンプシャー州の一部地域では、1カ月以上雨が降っていない。
気象庁のウィル・ラング主任気象予報士は、「ここ数カ月、イングランドの大部分で起きている温暖で異常に乾燥した気候は、引き続き大きな影響を与えている」と述べた。
8月上旬にはイングランドの一部地域で雨が降る可能性があるが、気象庁は、乾燥した状況を大きく改善するような持続的な降雨の兆候はないと述べている。

画像提供, Anadolu via Getty Images

降雨量の少なさと長期にわたる高温(水分の蒸発量の増加)が相まって、土壌や植生、河川の水分貯蔵量が急速に減少している。
こうした状況が「フラッシュ干ばつ」を引き起こしたと、環境庁は述べている。これは、干ばつが数カ月や数年かけて徐々に発生するのではなく、突然始まる現象を指している。(※編集注=英語では鉄砲水をフラッシュ・フラッズ(Flash Floods)と呼ぶなど、突発的な現象に「フラッシュ」という語をあてる)
今日の発表は、過去5年間で3回の干ばつが発生したことを意味する。2022年、2025年、そして今回の2026年だ。
干ばつは自然現象だが、科学者らは気候変動によってそのリスクが高まっていると指摘している。夏の気温上昇によって土壌がより早く乾燥し、より深刻で長期にわたる干ばつにつながる可能性があるという。
一部の研究者は、水インフラへの投資不足も問題点として指摘している。
環境庁は以前、緊急の対策を講じなければ、今世紀半ばまでにイングランドの公共水道供給量が1日あたり50億リットル不足する可能性があると警告していた。
「今回の干ばつは、単に雨が足りないというだけの問題ではない」と、英ニューカッスル大学のヘイリー・ファウラー教授は話す。「温暖化による気温上昇、水需要の増加、老朽化したインフラ、そして漏水による水の過剰な損失などが複合的に影響している」
イギリス政府は水道事業の改善に取り組むことを表明しており、水道会社も投資計画を発表している。ただ、その結果として水道料金は上昇している。

画像提供, EPA
干ばつは自然環境にも影響を及ぼしている。河川流量が少ないため、タイセイヨウサケは上流へ遡上(そじょう)することができない。また、農業にも打撃を与えている。
イングランド・ウェールズ全国農民組合(NFU)のポール・トンプキンス副会長は、「農業従事者や生産者は常に天候と闘わなければならなかったが、今彼らが経験しているのは気候変動の現実だ。より極端な気象条件によって、この国の食料生産はより困難で、より危険で、よりコストがかかるようになっている」と述べた。
トンプキンス氏はそのうえで、干ばつの問題は国の食料安全保障に影響を与えるため、「誰もが関心を持つべき問題だ」と付け加えた。
こうしたなか、イギリスは今年4度目の熱波に見舞われている。
すでに一部地域では、熱波に関する健康警報(オレンジ色と黄色)が発令されており、29日にはイングランド南東部の一部地域で気温が35度に達する可能性がある。
高温乾燥の天候は、森林火災が広がるのに理想的な条件を作り出している。英消防長協議会は、森林火災のリスクは「イギリス全土で依然として高い」と警告している。
同団体によると、イングランドとウェールズでは過去2週間で200件以上の森林火災が報告されている。
英気象庁はこれとは別に、検証の結果、6月に記録された最高気温が、これまで考えられていたよりもさらに高かったと発表した。
以前報告されていた6月26日のノーフォーク州リングウッドの気温37.7度は38.0度に更新され、イギリスのこれまでの6月の最高気温35.6度を大幅に上回った。

画像提供, EPA
追加取材:ジェス・カー記者












