ロシアのキーウ空爆、重要インフラが「意図的に」攻撃されたとクリチコ市長

赤いヘルメットを着けた消防士が、建物の外へ出ようとする高齢女性の腕を支えながら、れんがやがれきの上を歩いている。後ろには損傷した水色の壁の建物がある

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イモジェン・ジェイムズ記者、ダン・ジョンソン・ウクライナ特派員

ロシアによるウクライナの首都キーウへの直近の攻撃について、キーウのヴィタリ・クリチコ市長は20日、首都の重要インフラが数カ月ぶりに「意図的に攻撃された」と述べた。

ウクライナ国家非常事態庁(DSNS)によると、ロシアによる20日未明の空爆では、キーウ市内各地の集合住宅や倉庫が攻撃されたほか、小児病院と学校も被害を受けた。少なくとも17人が死亡し、40人以上が負傷した。

クリチコ市長は20日、夜間攻撃の影響で、デスニャンスキー地区とドニプロ地区の一部で温水供給に支障が出る可能性があると住民に警告した。

「損傷したインフラの復旧に、専門家たちが取り組んでいる」と、クリチコ氏はメッセージアプリ「テレグラム」で述べた

夜間に複数の車からオレンジ色の炎が上がっている。手前に立つ人のシルエットが見える

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ロシアの攻撃で破壊されたキーウ市内の集合住宅を訪れたクリチコ氏は、BBCニュースの取材に応じた。その中で、ウクライナは依然として防空ミサイルの不足に直面しており、「弾薬やミサイル迎撃システム、パートナー国からの支援を必要としている」と述べた。

ウクライナはこうした兵器の供給を西側の同盟国に頼っている。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は20日未明の攻撃を受けて間もなく、「ウクライナが弾道ミサイルを迎撃できる十分な能力を持たない限り、ロシアが和平を真剣に考えることはない」とテレグラムに投稿した。

さらに、「パトリオット迎撃ミサイルはまだ補充されていない。(パトリオットは)毎日必要なものだ。ミサイルが1発補充されるごとに、国民の命が救われる」と付け加えた。

ウクライナが20日朝に発表した最新情報からは、今回の夜間攻撃でロシアが発射した弾道ミサイルが1発も迎撃されなかったことがうかがえる。

ウクライナはロシアの弾道ミサイルに対抗するため、アメリカから供給されるパトリオット迎撃ミサイルに依存してきた。しかし、アメリカはその備蓄の大半を中東での戦争に使用しており、ウクライナへの供給量は減っている。

ロシア国防省は今回の夜間攻撃について、空・陸・海に配備された兵器を使って軍事施設や倉庫を攻撃したと発表した。

アントニオ・グテーレス国連事務総長の報道官は20日、事務総長が今回の攻撃を「強く非難」するとともに、紛争の激化を「深く懸念している」と述べた。

報道官は、「これは、人口密集地域に対する攻撃の激化という憂慮すべき傾向を示す、新たな悲劇的な事例だ」とした。

キーウへの攻撃は現地時間20日午前0時ごろに始まり、市内各地で空襲警報が鳴り響いた。その後、ロシアの複数のミサイルが着弾した。

数千軒の建物で停電が発生し、キーウ州の一部地域は暗闇に包まれた。

ウクライナでは翌21日を、今回の攻撃の犠牲者を追悼する日とすることが発表された。

キーウ市ソロミャンスキー地区の学校では窓ガラスが吹き飛び、運動場にはがれが散乱した。

近くの物置も破壊され、地下室がむき出しになった。この建物は周辺の集合住宅に暖房を供給する洗濯室兼ボイラー室だったことが、BBCの取材でわかっている。

ウクライナ情報機関の副責任者はBBCに対し、これはロシアが冬の到来を前に、市民の生活を困難にしようと計画していた攻撃だと述べた。

攻撃された9階建ての集合住宅には、小学校教師のアナスタシア・コフトゥンさんの自宅があった。

コフトゥンさんはシェルターに身を寄せていた際に爆発音を聞き、「頭が吹き飛ぶかと思った」という。

「(攻撃を受けたのが)自分の家なんだと、そう認識するのは本当に恐ろしい。次に被害に遭うのが自分だとは、思いもしないので」と、BBCに語った。

紫色の半袖Tシャツを着た女性が、緑色の落ち葉が散らばる地面にあぐらをかいて座り、カメラに向かってほほえんでいる
画像説明, コフトゥンさんは、自宅が空爆で破壊されたことを受け止めるには、時間がかかると話した

ヴァレリア・ボンダルクさんは、過去の攻撃でウクライナ南部の自宅が爆撃されたため、自分と娘がより安全に過ごせると考えてキーウへ移り住んだという。

しかし今回の攻撃で、ボンダルクさんはまたしても、自宅から避難する羽目になった。

ボンダルクさんは現在13歳の娘の将来を案じ、国を離れることを検討していると、BBCに話した。

床にがれきが散乱し、窓ガラスが吹き飛んだ一室で、黒の半袖Tシャツを着た女性がカメラを見ている
画像説明, 夜間攻撃で損傷した自宅アパートに立つヴァレリア・ボンダルクさん

20日未明の攻撃では、キーウ州のほかの地域でも死傷者が出た。キーウ近郊ブロバルイとボルィースピリへの攻撃では、男性1人が殺害され、7人が負傷した。地元当局によると、ドネツク州でも1人が殺害され、11人が負傷した。

ロシア国防省は、ウクライナがロシア領内各地に向けて発射したドローン726機を撃墜したとした。

ロシアとウクライナはここ数週間、互いに大規模な空爆を続けており、数十人が死亡している。

ウクライナはロシア領内の奥深くを狙った攻撃を強化している。先週末にはドローン600機をロシアの首都モスクワへ発射した。

今週ロシアに対してウクライナが行った2度の攻撃では、子ども1人を含む少なくとも16人が殺害された。

灰やがれきに覆われた焼け焦げた車や、窓が吹き飛んだ建物が残されている

双方への攻撃が続き、いずれの側も脆弱(ぜいじゃく)な状態に置かれる中、停戦を仲介する外交的取り組みにはほとんど進展が見られない。ウクライナとロシアは互いに、民間人を標的にしていると非難し合っている。

2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始したロシアは現在、ウクライナ東部の国境地域を中心に、ウクライナ領土の約2割を支配している。

追加取材:イザベラ・ジュエル(キーウ)、ルース・カマフォード(ロンドン)