イエメン政府軍、紅海の重要航路を「確保」と発表 フーシ派は否定

政府軍の兵士たち。迷彩服、Yシャツ、Tシャツなどさまざまないでたちの男性たちが、自動小銃と弾薬などを入れた装備を持っている
画像説明, イエメン政府軍の兵士たち。フーシ派が支配する全領土の奪還に向けた攻勢を開始したと、政府は発表した(3日、タイズ)
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デイヴィッド・グリッテン記者、ヘレン・サリヴァン記者、オッティリー・ミッチェル記者

国際的に承認されているイエメン政府の軍は5日、反政府武装勢力フーシ派が支配する全地域の奪還を目指すなかで、紅海の南端にあるバブ・エル・マンデブ海峡を「確保した」と発表した。

政府軍は声明で、サウジアラビアによる空爆の支援を受けながら、紅海沿岸の都市モカを制圧したと発表した。

一方で、相反する情報も出ている。ロイター通信とAFP通信は、イエメン政府と軍の匿名の情報筋の話として、部隊は市の郊外にしか到達していないと伝えた。

イランの支援を受けているフーシ派は、バブ・エル・マンデブ海峡とモカの支配を失ったことを否定。空爆への報復として、リヤド空港などサウジアラビア国内の標的を攻撃したと述べた。

サウジアラビアは攻撃を非難し、国連安全保障理事会の常任理事国に対し、イエメン政府を支援するよう改めて求めた。

パキスタン外務省が発表した共同声明によると、サウジアラビアの同盟国であるトルコとパキスタンは5日、リヤドで緊急会合を開き、メッカ防衛協定に基づき、サウジアラビアに迅速に軍事部隊を派遣することで合意した。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は声明で、サウジアラビアに対する「フーシ派による国境を越えた攻撃の継続」を非難し、「戦闘の急激な激化を深く憂慮している」と述べたと、AFP通信が伝えている。

イエメン南西部では5日、親政府派の「ナショナル・シールド」、「ジャイアンツ旅団」、「ティハマ抵抗軍」が攻勢に出て、9月に占領されていた沿岸地域の大部分から、フーシ派を追い出したと報じられている。

イエメン政府筋4人がロイター通信に話したところによると、政府軍は5日夜遅くにモカ郊外に到達。フーシ派戦闘員は現在、撤退しているところだという。

AFP通信の取材に応じた政府軍関係者は、モカ制圧については明言を避けたものの、「我々の部隊はドゥバブ軍用飛行場を制圧し、ドゥバブ地区とバブ・エル・マンデブ地域を結ぶ道路を遮断した」と述べた。

これに先立ち政府軍は、モカから南へ45キロ離れたドゥバブ空港を制圧し、近隣の町にいるフーシ派戦闘員を包囲していると発表した。

これに対しフーシ派系のメディアは、フーシ派軍事部門筋の話として、ドゥバブ、バブ・エル・マンデブ、モカの支配権をフーシ派が失ったというのは「サウジアラビアのプロパガンダ」だと伝えた。また、依然としてドゥバブとバブ・エル・マンデブ、そして沿岸のカフブーフ山脈を支配圏に置いていると報じた。

イエメン政府は5日、首都サヌアを含む他の戦線でも作戦を開始したと発表した。サヌアは、12年前の内戦勃発時にフーシ派の手に落ちた。

一方、サウジアラビア主導の連合軍は、イエメン政府軍に24時間体制で戦闘機による航空支援を提供しており、攻勢開始以来、324カ所の「重要標的」を破壊したと発表した。

フーシ派が運営するテレビ局「アルマシラ」は、サウジアラビアの空爆により、サヌアのサンハン地区とサアワン地区で女子生徒と女性が死亡したと伝えた。

フーシ派のモハメド・アブドゥル・サラム広報担当は、サウジアラビアが「数十件の虐殺」を行っており、「すべての結果を負わなければならない」と述べた。

フーシ派が運営する人道支援活動調整センターは、イスラム教の聖地であるメッカとメディナの上空を除き、サウジアラビアの空域は「作戦地域」となったため、もはや安全ではないと民間航空会社に警告した。

イエメンの大統領指導評議会のラシャード・アル・アリーミー議長(国家元首に相当)は4日、「共和国の残りの領土を奪還し、国家とその機関の権限を国土全体に拡大するため、軍事作戦の開始を発表する」とテレビ演説で述べた。

また、事態沈静化のためのあらゆる手段は尽くされたと主張し、すべての部隊に対し、「国がフーシ派テロリスト民兵の支配から解放されるまで」割り当てられた任務を遂行するよう呼びかけた。

この直前には、フーシ派が南西部の都市タイズ近郊の山道を遮断し、事実上、政府軍と住民を包囲したと報じられていた。

フーシ派は、サウジアラビアがイエメン領土に対して行った数十回の攻撃への報復として、サウジアラビアの首都リヤドと東部クライス地方の国営石油会社サウジアラムコの施設を、弾道ミサイルとドローンで攻撃したと発表した。

フーシ派の軍事広報を担当するヤヒヤ・サレア氏はメッセージアプリ「テレグラム」に、同組織はリヤド国際空港への攻撃に加え、サウジアラムコの石油精製所、アブハ空港、その他複数の施設を攻撃したと投稿した。

BBCヴェリファイ(検証チーム)によると、4日に撮影された人工衛星画像には、リヤド市南東部にあるアラムコ・リヤド製油所の空爆現場から、濃い黒煙が立ち上っている様子が写っている。

また、5日の人工衛星画像では、クライス地方の中央加工施設と、攻撃された可能性のある地点からも同様の煙が立ち上っているのが確認できる。

イエメンでは、2014年にフーシ派がサヌアから政府を追放したことを機に内戦が始まり、国内が荒廃した。内戦は、サウジアラビア主導のアラブ連合軍が、政府による統治を回復しようと介入した2015年に激化した。

フーシ派とサウジアラビアとの紛争は、2022年に非公式の停戦が発効して以来、4年にわたって沈静化していたが、今年7月にフーシ派がサウジアラビアに対する「海上封鎖」を発表し、紅海のサウジアラビアの空港、石油施設、タンカーへのミサイル攻撃やドローン攻撃を開始したことで崩壊し始めた。

9月に入ると、フーシ派は電撃的な攻勢で、モカ、ドゥバブ、ペリム(マイユーン)島など、バブ・エル・マンデブ海峡を見下ろす地域を制圧。水路を通過する国際船舶に対して脅威を与えるつもりはないと述べたが、サウジアラビアからの船舶は標的にし続けると表明した。

米・イスラエルとイランの戦争によってペルシャ湾のホルムズ海峡が事実上、閉鎖されて以来、サウジアラビアは石油輸出を紅海側のルートに依存している。そのため、バブ・エル・マンデブ海峡の占領は、世界の原油価格の高騰につながった。

イエメン政府の保健省によると、同国における8月6日以降の戦闘で、これまでに少なくとも959人が死亡、5000人が負傷した。

国連によると、さらに19万7000人が避難を余儀なくされている。